先日の鑑定で「今の仕事を続けていけるか不安」というご相談を受けました。
Aさんはキャリア12年のデザイナー。昨年ご結婚もされ、順風満帆に見える今、なぜそのような不安が出てきたのでしょう?
その不安の背景には、「もう飽きた」「本当は辞めたい」——そんな本音が隠れているように私は感じました。
今回はそんな本音を、ホロスコープから一緒に探っていきました。
12年に一度の成長のタイミング
Aさんは今年、木星回帰を迎えていました。
木星が生まれた時の位置に戻るのは約12年に一度。
つまり今は、
-
12年で学んだことを総まとめし、
-
新しいテーマ(働き方・人生の目的)へと移るタイミング
なのです。
しかもAさんの木星は、人生の方向性を示す太陽とピッタリ重なっています。
このため、木星サイクルの影響が人一倍強く現れます。
Aさんの太陽は水瓶座で11ハウス。
自分を信じて理想や夢に向かう力が強く、健全な向上心とおおらかさを持っています。仕事に対しても「社会に何をもたらせるか」という使命感を感じやすい人と言えます。
太陽の度数は水瓶座29度。
魚座に入る直前の最終度数にあり、
社会的成功だけでなく、精神的な充実や心の豊かさを求める太陽です。
もともとこの度数を持つ人は、
「成果を出すこと」よりも「自分がどう在りたいか」
「社会の中で何を残したいか」
といった“本質的な生き方”を重視する傾向があります。
Aさんもまさにそのタイプで、
現実的なキャリアの中にも“精神的な意味”や“理想とのつながり”を求める方です。
月の欲求が満たされたことによるステージの移行
Aさんの月は双子座で2ハウスにあります。
この配置は「収入がある=安心できる」と感じやすい傾向があります。
ただし、それは単なる金額ではなく、
「自分の価値を社会の中で実感できること」
が重要なのです。
つまり――
- 給料をもらう
- 誰かに求められる
- 自分のスキルが役立っている
そうした「価値の証明」が、心の安定を支えてきました。
ところが、結婚によって生活基盤が整った今、
月2ハウス的な「生きるために働く」モードがゆるみつつあるのかもしれません。
これまでのAさんは、
「自分が稼がないと不安」
という生存本能の中で頑張ってこられた。
しかし今は、
「生活は守られている。では私は、何のために働く?」
という次の問いが浮かび始めている。
この心のシフトこそが、
「長く続けられるか不安(=もうこの形ではやれない)」
という感覚として現れているのです。
余談なのですが、結婚によってステージが変わるということはよくあります。
Aさんのパートナーシップを表す7ハウスには
冥王星とドラゴンテイルが入っており、
これらが金星(2ハウスルーラー)と水星(6ハウスルーラー)とトライン。
私は、ホロスコープはその人の物語の目次だと思っています。
おおまかな流れや章立ては星たちが示してくれるけれど、
そのページにどんな物語を綴るかは、本人の生き方によって決まる。
星は“指し示す”けれど、“強制はしない”。
だからこそ、今回のようにひとつの出来事がきっかけとなって、
眠っていた物語が起動していく瞬間に立ち会うと、胸が震えるのです。
まるでスイッチが押されて、イルミネーションが一斉に点灯するみたいに——
「え、こんなところにも光があったの?」と思うような場所まで、
人生の回路がつながっていく。
そういう瞬間に、私はいつもホロスコープの“生きた美しさ”を感じます。
ホロスコープで見る適職と働き方
デザインの仕事自体は、Aさんにとって適職です。
収入を示す2ハウスのカスプは牡牛座で、ルーラーの金星は魚座12ハウス。
この金星が山羊座のMCとセクスタイルを形成し、MCには海王星が重なります。
私の鑑定経験上、デザイン職の方は例外なく「金星と海王星のつながり」を持っています。
Aさんもまさにその典型です。
- 金星:魚座12ハウス → 繊細な感受性、目に見えない“雰囲気”や“世界観”を感じ取る力
- 海王星:MC合(山羊座) → その感性を、社会的に通用する“形”へと翻訳する力
つまり、
「感覚(魚座)を構造(山羊)へと翻訳できる人」
であり、これはデザインにぴったりの資質です。
ただし、2ハウス・6ハウスのルーラーがともに12ハウスにあるため、
働き方としては以下のようなスタイルが理想的でしょう。
- 一人で作業できるクリエイティブ職(デザイン・執筆・映像・音楽など)
- マイペースに進められるフリーランス・在宅・請負型
- “静けさ”や“内的空間”を確保できる環境
また、11ハウスの太陽も組織の中での上下関係よりも、
仲間意識や社会貢献意識をベースに働く方がエネルギーが活性化します。
太陽・月・木星が描くAさんの“今”
Aさんのホロスコープ全体を見ると、
太陽(水瓶座)・月(双子座)・木星(太陽と合)がそれぞれ違う方向を指しているようで、
実は一つのテーマに収束しています。
- 太陽×木星は「理想を形にする」力。社会の中で自分の理念を実現したい。
- 月は「安心できる現実」を求め、収入や評価を通して自己価値を感じたい。
これまでは、この2つが同じ方向を向いていました。
「仕事を頑張ることが安心につながる」時期だったのです。
でも、木星が一周し、結婚で生活の安定が得られた今——月の安心が満たされたことで、太陽が次の理想を探し始めた。
つまりAさんの「不安」は、
「仕事を続けられるか」ではなく、
「今の仕事のままで太陽=自分の理想を生きられるのか」
という問いなのです。
まとめ
Aさんは「前々から興味があった独立を考えるタイミングに来ているのですね」とおっしゃいました。その目には迷いが消え、静かな決意が固まったように見えました。
「仕事を続けていけるか不安」という一見ネガティブなご相談から始まった今回のセッション。けれど、星を読み解いていくと「次のステージへ進むタイミング」が示されていました。
心のモヤモヤが晴れたことで、笑顔を取り戻したAさん。
きっと、より一層ご自身の太陽を輝かせてお仕事に邁進されることだと思います。
あなたも今の仕事に対する違和感や不安はありませんか?
その不安の裏にある「本音」をホロスコープで一緒に見ることで、
納得して次のステージへ移行することができるかもしれません。

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