恋ではないけれども……
そもそも私は、自分からおしゃべりをするのが苦手だ。自分の話なんてそもそもしたいと思わない。ましてやそれがイケメンだったり、意中の相手だったり、恋愛対象や結婚相手の候補ともなればなおさら喋れなくなる。だってそうでしょ? ボロを出したくないじゃない。
私は黙ってればおしとやかで賢そうに見えるし、黙ってれば実は感情優先で思考を深めるのがあまり得意じゃないこともバレない。さらにはクールでミステリアスで大人っぽい自分を演出できる。カッコつけたいじゃない。
そんな私と彼の初デートは、日本酒が美味しい和食のお店。彼はイケメンサーファーじゃないし、完全に恋愛対象外。カッコつけないくていいし、自分をよく見せる必要がない。だからかな、一緒にいてとにかくラクだった。
識が幅広くて飽きない、話していて楽しい、会話のテンポも心地よい。おしゃべりが苦手なはずの私が気持ちよく喋れる。それは今までの彼氏や彼氏候補に無い感触だった。その居心地の良さと安心感からか、この日以来頻繁にラインでやり取りをするようになった。
デザイナーになりたいと言ってみたら…
コロナが騒がれ始めた頃、ついに私は仕事を辞める決断をした。
ありえないほどの好条件で就職した会社だったのだが、会社が期待するような成果を出せていなかった私。そこに輪をかけて、コロナで私が担当していた海外案件が全てストップし、余剰人員扱いに……。
こんな高給をもらっているのに、期待に応えられていない私って何なんだろう……。果たして会社にとって本当に存在意義はあるのだろうか?
ストレスから日に日に増えていく酒量。当時は、毎日アルコールを飲んで記憶を飛ばす日々。もともとお酒を飲まない彼は、私の酒量が異常なことに一切疑問を持たず「お酒を飲む人はこんなに飲むんだ〜」くらいにしか思っていなかったそう。
そんな時、たまたま見つけたのが職業訓練だった。
- 失業手当をもらいながらスキルが身に付く
- スキルを身につければ、フリーランスになれるかもしれない
- 会社も辞められる
- 無職でいることの正当性ができる
「仕事を辞めて職業訓練に行こうと思ってるんだけど、どう思う?」
たまたまネットで見つけたそれをフリーランスのデザイナーをしていた彼に見せて聞いてみた。
本当は、何の成果も出せていない状態で会社を去ることの後ろめたさがあったし、私の甘い考えを否定してほしかったんだと思う。
これまでデザインとは無縁の仕事をしてきた私は、「デザインなんてそんな甘い世界じゃないから、やめとけば?」と言われることをどこかで期待していた。
けれど、彼の答えは「いいじゃん!僕も通いたいくらいだよ!」だった。この一言に背中を押されて、ストレスまみれな職場を退職し、私はデザインの道へ入ることになった。
占いってあやしくないの?
彼に誕生日を聞いた時のこと。
「もしかして、占いですか?」
(ドキッ)え?なんでバレたの……?という私の心の声が聞こえたかのように
「僕も占い好きですよ」と一言。
気になる男性が現れたら、とりあえずホロスコープを出して自分との相性を調べていた私。当時は独学だったので、読めるというレベルでは全くなかったものの、なんとかホロスコープを使って運命の相手、そして結婚する時期を知りたいと思っていた。ちなみに、彼とは月星座が同じなだけで、他は目立つ星の絡みがなかったので、運命の人ではないという判断だった(笑)
そんな彼は、占いを毛嫌いするでもなく、熱心に話を聞いてくれたし、スピリチュアルな話も普通にできた。そして古事記に詳しく、いろんな神社を一緒に巡ったりしていた。
私は彼との穏やかな時間に心惹かれていった。
見た目はタイプではない。サーファーでもない。酒も飲めない。いい人なんだけど、恋愛のドキドキとか皆無。付き合うまでに葛藤はあったけど、なんだかんだで結婚までトントン拍子に進んでいった。
結局私が求めていたのは、見た目でもサーファーでもなく、信頼できて穏やかで安心できる関係性だった。
トランジット検証
出会って1年くらいで結婚したので、その間のトランジットとプログレスを検証してみた。
- トランジットの土星、木星がMCを通過(結婚=社会的な契約)
- トランジット土星がアセンダントとスクエア
- トランジットの冥王星が太陽とセクスタイル
- プログレスの太陽が射手座から山羊座へ(結婚したので、ここで生きていく!と宮崎に骨を埋める覚悟をした)
個人的にはT冥王星・N太陽(7室)で、パートナーシップを持つことによって、ポジティブな変化に乗っていけたと思っている。やはり私は蠍座なので、そのルーラーである冥王星の影響を強く受けたと思う。
あとはやっぱり土星……。アセンダントは無自覚なのですが、T土星とスクエアなので、なんとなく喜びに溢れた結婚というより、土星先生に年貢の納め時ですよと言われたような気がする(笑)まぁ結婚って現実問題、生まれ育った環境も価値観も違う他人と生活を一緒にしていくわけなので、忍耐や努力が必要ですよね。
- トランジットの土星、木星、冥王星がICを通過(生活基盤の変化)
- トランジットの土星、木星がネイタル太陽にオポジション
- プログレス太陽にネイタル金星が合(恋愛や結婚の幸せに意識が向かっていたタイミング)
- ネイタル太陽にプログレス月が合(29年に一度の節目。新たな人生のスタートのタイミング)
当時、モテないことに開き直って恋愛を諦めていた彼は、恋に一喜一憂している同じ歳の同僚を間近で観て「楽しそうだな」と思ったらしい。恋愛で傷ついたり落ち込んだりしてる様すら楽しそう。諦めている自分は人生を損しているんじゃないか、自分も恋愛する資格があるんじゃないか、あとは自分の勇気次第じゃないかと思っていたらしい。これはP太陽・N金星合とも一致しますね。結婚の他にも、女性の場合だと妊娠・出産など「喜びや幸せ」の星回りだと言われています。
彼の場合はN太陽にT木星、土星が絡んできている。結婚は幸せになるために(木星)するものだけど、忍耐や責任(土星)が必要ってことですね。
旦那のプログレス太陽に私のプログレス月が合
シナストリーでプログレスの新月を見つけた時、鳥肌がたった。というのも、ネイタルだけでは運命的と言える接点があまりないから。プログレスを理解していなかったあの頃の私に教えてあげたい…間違いなく運命の相手だよ、と。(笑)
それにしても、ピッタリなタイミングに出会って結婚したものだ……。やっぱり直感とか流れとか、なにか目に見えない力が働いているとしか言いようのない出来事(運命)ってありますよね。そして、それを可視化してくれるツールがホロスコープ。
理想よりも素晴らしい結末を
私が「今、幸せだ」と思えるのは、自分の理想を手放したから。私がイケメンサーファーに固執していたら、今も独身だったかもしれない。太陽7室の私はパートナーシップを学びに来た魂。それが、独身だといつまで経ってもその学びに入れないことになる(もちろん夫婦以外にもビジネスパートナーから、パートナーシップを学ぶ場合もあるけど……やっぱり一番学びがあるのは夫婦という関係性だと思う)。
逆に言えば、私の場合は結婚してからが本番。これからいろんなドラマがあるんだろうけど、「かかってこい!」そう思えるくらいに、お互いに信頼しているし、絆も固いと思っている。そして、そんなパートナーに出会えたこと、今のところ良いパートナーシップを築けていることに感謝している。
頭で考えた理想とは違う相手と結婚したら、想像以上に幸せになれた。だから、もし今あなたが理想と現実の間で揺れていることがあるなら、そのガチガチに縛った自分の理想を少しだけ緩めてみてほしい。きっと想像以上の結末が手に入るから。
世界はあなたの理想よりも遥かに素晴らしい結末を用意してくれている。
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